· 

水彩絵具を4カ月、日の当たる場所に置いた結果・・・

 

こんにちは

 

画家の青木鮎美です。

 

今日は4カ月前から進めていた実験がついに終わりましたので、

 

結果を発表したいと思います。

 

それは

 

「水彩絵の具の耐光テスト」

 

実験は

 

●絵具を同じ条件で塗布したを水彩用紙を2枚用意

 

用紙1・・・窓辺の太陽光が当たる場所

 

用紙2・・・光の入らない押入れなどの暗い場所

 

この2枚を4カ月ほど放置して、絵具の褪色度合いを見る

 

 

という内容です。

 

実験は2022年8月14日~12月23日の

132日間で行いました。

 

 

2022年の6月頃に出会った一冊の本がきっかけで

 

この実験を行うまでに至ったのですが

 

その本のタイトルは

 

「鳥の描き方 マスターブック」ジョン・ミューア・ローズ著 森屋利夫訳 マール社です。

この本の中で筆者が水彩絵の具についての細かい分析や特徴を記載していて、

 

筆者は「配置する色を選ぶときは、絵の具の品質、耐光性、染色性(ステイニング)、粒状化、透明度、顔料単体との混色性などをよく考慮しよう。」

 

と記載しており、実際に自分が使用しているすべての条件をクリアした絵の具を列挙しているページがありました。

 

確かに、自分の使う絵の具がどの素材でどういう効果があって、どのくらい光に耐えられるのかは知っておいて損はないですね。

 

ってことで、さっそく実験報告です。

 

使用した絵の具のメーカと種類はこちら。

 

●ダニエル・スミス(水彩)→以下DSで表記

 

●ウィンザー&ニュートン(水彩)→以下WNで表記

 

●ウィンザー&ニュートン(ガッシュ)→以下WNGで表記

 

●太陽マーク→太陽光に当てた紙

 

 

ではさっそく結果を見ていきましょう。

 

 

※色が褪色したかどうかは個人差があると思いますが、今回は私の独断で判断した結果を記載します。

「鳥の描き方 マスターブック」に掲載されていた水彩絵具(一部例外あり)

●ハンザイエローライト(DS)

 Hansa Yellow Light

褪色なし

●ハンザイエローミディアム(DS)

  Hansa Yellow Medium

褪色なし

●ニューガンボージ(DS)

 New Gamboge

やや褪色あり

●キナクリドンゴールド(DS)

 Quinacridone Gold

やや褪色あり

●パーマネントオレンジ(DS)

 Permanent Orange

 やや褪色あり

 

●キナクリドンシェンナ(DS)

 Quinacridone Sienna

やや褪色あり

●ピロールレッド(DS)

 Pyrrol Red

やや褪色あり

●キナクリドンピンク(DS)

 Quinacridone Pink

やや褪色あり

●キナクリドンマゼンタ(DS)

  Quinacridone Magenta

やや褪色あり

●ウィンザーバイオレット ディオキサイジン(WN)

  Winsor(dioxazine)Violet

やや褪色あり

●インダンスロンブルー(DS)

 Indanthrone Blue

やや褪色あり

●コバルトブルー(WN)

Cobalt Blue

やや褪色あり

●マンガニーズブルーヒュー(DS)

Manganese Blue Hue

やや褪色あり

●フタロブルー(DS)

Phtalo Blue

褪色なし

●フタロイエローグリーン(DS)

Phthalo Yellow Green

やや褪色あり

●リッチグルーンゴールド(DS)

Rich Green Gold

褪色なし

●クロミウムオキサイド(DS)

Chromium Oxide

褪色なし

●フッカーズグリーン(DS)

Hooker’s Green

褪色なし

●アンダーシーグリーン(DS)

Undersea Green

褪色なし

●ペリレングレーン(DS)

Perylene Green

※間違えて太陽光に当てた紙に一部アンダーシーグリーンを塗った可能性あり。

褪色なし

●サーペンティンジェニュイン(DS)

Serpentine Genuine

やや褪色あり

●パフチタニウム(DS)

Buff Titanium

褪色あり(色が濃くなる)

●モンテアミアタネチュラルシェンナ(DS)

Monta Amiata Natural Sienna

褪色なし

●イタリアンバーントシェンナ(DS)

Italian Burnt Sienna

褪色なし

●バーントアンバー(DS)

Burnt Umber

褪色なし

●ローアンバー(DS)

Raw Umber

褪色なし

●ブラッドストーンジェニュイン(DS)

Bloodstone Genuine

褪色なし

●シャドウバイオレット(DS)

Shaow Violet

褪色なし

●ブラックトルマリンジェニュイン(DS)

Black Tourmaline Genuine

褪色なし

●ペイニーズグレイ(DS)

Payne’s Grey

絵具には「Gray」で記載がありますが、原書の表記は「Grey」なので「e」で表記させていただきます。

褪色なし

●ニュートラルチント(WN)

Neutral Tint

褪色なし

●ニュートラルチント(DS)

褪色なし

※この絵具のみは「鳥の描き方 マスターブック」に掲載は無かったのですが、(WN)との色の違いの比較でここに掲載します。

上記以外のウェイザー&ニュートンの水彩絵具(全色ではありません)

●カドミウムイエロー

褪色なし

●イエローオーカー

褪色なし

●イエローディープ

褪色なし

●カドミウムレッド

褪色なし

●バーントシェンナ

褪色なし

 

※上記全て(WN)

●グリーンシェード

褪色なし

●ホーカーズグリーン

褪色なし

●パーマネントサップグローン

褪色なし

●セルリアンブルー

やや褪色あり

●ターコイズ

褪色なし

 

※上記全て(WN)

●ブルー (レッドシェード)

やや褪色あり

●デイビーグレイ

褪色なし

●アイボリーブラック

やや褪色あり

●バーントアンバー

褪色なし

●チタニウムホワイト

褪色あり(色が濃くなる)

●チャイニーズホワイト

褪色あり(色が濃くなる)

 

※上記全て(WN)

 

ウィザー&ニュートン ガッシュ

●レモンイエロー

褪色なし

●スペクトラムレッド

褪色なし

●オレンジレイクディープ

褪色あり(全体的に色が濃くなる?)

●ベンガルローズ

褪色あり

●アリザリンクリムソン

褪色なし

 

※上記全て(WNG)

●マゼンタ

褪色あり(ほぼ別の色)

●スペクトラムイエロー

褪色なし

●スペクトラムバイオレッド

褪色あり(濃くなり、絵具のみずみずしさがなくなる)

●コバルトブルー

褪色なし

●ウリトラマリン

褪色なし

 

※上記全て(WNG)

●セルリアンブルー

褪色なし

●ブルジャンブルー

やや褪色あり(色が濃くなる)

●オリーブグリーン

褪色あり(色が濃くなる)

●パーマネントグリーンライト

褪色なし

●ブリリアントグリーン

やや褪色あり

 

※上記全て(WNG)

●パーマネントグリーンミドル

やや褪色あり

●ヴィリジアン

褪色なし

●ナポリイエロー

褪色なし

●イエローオーカー

褪色なし

●ローシェンナ

褪色なし

 

※上記全て(WNG)

●バーントシェンナー

やや褪色あり(色が濃くなる)

●バーントアンバー

褪色なし

●アイボリーブラック

褪色なし

●パーマメントホワイト

褪色なし

 

※上記全て(WNG)

以上で実験結果の報告は終わりです。

 

まとめ

 

・土系の褪色しにくい。

 

・褪色した色に関しては、多少であればそこまで神経質にならなくてもいいが、もとから褪色を意識して使用することが大事。

 

・ホワイト系は太陽光に当てると日に焼けたように色が濃くなる。

 

・マゼンタ系は褪色しやすい。

 

・イエロー系はどの絵具も褪色しなかった。

 

今回のブログは絵具の褪色に焦点を当てているので、絵具の顔料とかについて深堀はしませんが、シリーズで色を自分なりに調べてみていくのも面白そうですね。

 

ってことで、色の褪色テストは以上です。

 

このブログが皆さまのお役に立てると幸いです。