この本については、正直言うと、書店に置かれているのを見たときに
「読むの辛いな」
と思ってしまいました。
この本はダウン症の子供を持つ父親が日々を綴った、エッセイのような本です。
私自身は、ダウン症の子供についての知識はほとんどありません。
だから、どう向き合っていいか分からなくて、たまに見かけるその子たちに対して、どういう感情を抱けばいいのか、分からないことだらけで困ってしまいます。
どこかで「可哀そうだな」と思って接してしまう自分のエゴイスティックな気持ちと向き合うのも怖いし
全ては自分の弱さからきている拒否反応でした。
この本は、夏のアトリエのブログで少し紹介させていただいたビアンキ先生の通訳として参加されていた宇野和美さんが訳された本です。
たぶんこの「夏のアトリエ」に参加しなければ出会うことのなかった本を前にして、「この出会い(本との)をどういう形に変えていくかは自分次第なんだよな」と思い、勇気を出してページを開いてみました。
そこには、私と同じように、未知の生物を受け入れないでいる等身大の人間の姿が描かれていました。
作者の名はグスティ、アルゼンチン生まれのイラストレーターです。
ページを読み進めていくと、そこにはいくつものスケッチが描かれています。
ときにはコミック風
ときにはエッセイ風
ユニークな表現で
マルコ(息子)との愛しい日々を描いています。
作者は本の中で、今まで失敗だと思っていた絵について、「こんなのダメだ」と絵を破り捨ててきたことに対して、どうして受け入れなかったのだろうと、なぜ認められなかったのだろうと、苦悩していました。
私は最近、絵描きの友人に「まだ絵を支配していようとしているね」
と言われ、それがどういう意味なのか悩んでいました。
そんな折、この本と出会い、「ああ、私は予定外のことに対して受け入れていないんだ」という自分の気持ちを知りました。
「こうじゃなきゃいけない」「ああじゃなきゃいけない」っていうのは、勝手な自分の思い込み
まずはこのことについて、考えることから始めようと思います。
この本は、予定外の自分の気持ちに出会える1冊です。
タイトル/『マルコとパパ ダウン症のあるむすことぼくのスケッチブック』
作者/グスティ
訳 /宇野和美
出版社/偕成社
価格/2,800円(税抜)
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